賃貸物件の退去時になんだかんだと理由をつけて払っていた敷金以上のお金を請求された経験はあるでしょうか?これは一部のブラック業者だけの話では無く、名のある大手の業者でも在りうる話です。残念ながら日本の賃貸業者は消費者の無知に付け込んで本来であれば払う必要のないお金を取ろうとしてきます。なのでそういった事態に備えて必要な知識を備えておく必要があります。退去費用を15万円請求されたけど3千円に値下げすることに成功した方がその経緯をツイッターに投稿していたので、その方法をまとめてみます。
「国交省の原状回復ガイドライン」とは
原状回復の費用負担のあり方について、妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとして国交省がまとめたものです。簡単に言うと退去時に金をぼったくろうとする業者が多いので、国がガイドラインを定めたわけですね。
ガイドラインのポイント
ガイドラインの4つのポイントを引用します。
(1)原状回復とは
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
⇒ 原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
「原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない」というのはかなり重要なことですね。故意・過失での損耗で無く、通常の使用の範囲の傷であれば修繕費を払う必要は無いのですね。
(2)「通常の使用」とは
「通常の使用」の一般的定義は困難であるため、具体的な事例を次のように区分して、賃貸人と賃借人の負担の考え方を明確にしました。(以下の図参照)
<図 損耗・毀損事例の区分>
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
A :賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても、発生すると考えられるもの
B :賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの)
A(+B):基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの
A(+G):基本的にはAであるが、建物価値を増大させる要素が含まれているもの
⇒ このうち、B及びA(+B)については賃借人に原状回復義務があるとしました。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
”通常の使用”と”過失、故意、不注意”の線引きの仕方が示されています。
(3)経過年数の考慮
(2)で解説しているBやA(+B)の場合であっても、経年変化や通常損耗が含まれており、賃借人はその分を賃料として支払っていますので、賃借人が修繕費用の全てを負担することとなると、契約当事者間の費用配分の合理性を欠くなどの問題があるため、賃借人の負担については、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させる考え方を採用しています。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
”過失、故意、不注意”に線引きされるものであっても、賃借人はその分を賃料として支払っているので、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させるそうです。これも重要ですね。
(4)施工単位
原状回復は毀損部分の復旧ですから、可能な限り毀損部分に限定し、その補修工事は出来るだけ最低限度の施工単位を基本としていますが、毀損部分と補修を要する部分とにギャップ(色あわせ、模様あわせなどが必要なとき)がある場合の取扱いについて、一定の判断を示しています。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html